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■政治の師匠と言われる田中六助先生との思い出は?

田中六助先生は早くにお亡くなりになりましたが、私の心の中にはいつも生きている先生です。

勿論、他にも沢山の先輩・先人の先生方にご指導、また同僚の先生方からご協力をいただいて今日の私があるというのは言うまでもありません。

その中でも特に田中六助先生からは、徒手空拳というか、「門閥・閨閥のない古賀誠だから、大きく成長してもらいたい」と、そういう温かみが指導の中で常にありました。

田中六助先生は一言でいうと「国士」なんです。

スタンドプレー、パフォーマンスは決して出来ない先生でしたが、「政治家の評価は次世代、次々世代の人達がするものだ」と、政治家として一番大切なことを訓等の中で学ばせて頂きました。

非常に厳しかったけれども、温かみも伝えさせてもらい、まさに私の政治家としての政治理念は、そういう田中六助先生との出会いの中で培われていったものです。
■これまでの政治生活の中での思い出は?

「三十年というのは長いようで短い」と言われますが、私は長かったような気がします。振り返ると節目・節目で感動や喜び、そして悲しみがありました。

その中でも、やはり初当選というのが一番印象に残ります。

徒手空拳、地盤・看板・鞄、これを必要とされていた国政選挙で、何一つ持たない私が、支援者の皆様方のお力だけで国政に送り出してもらったわけで、特に泡沫候補といわれていた私の最初の挑戦は敗れましたが、二度目の挑戦では見事に当選させていただきました。

この時の感激と感動、これは忘れられないものがあります。

それからもう一つは、よく初閣僚と言われますが、私はむしろ与党の国会対策委員長、この職責につかせてもらった事が非常に嬉しかったです。幹事長に就任したときよりも国対委員長就任が感動的でした。

これは、自分の目指す法律や法案、これが立法府で実現できるという喜びがあったからです。

弱者に対してどういう政策が必要か、まさに政治を志すきっかけとなった母親の背中とダブるのですね。だから、国対委員長を三年やった喜び、これは忘れられません。
■自自連立政権樹立も苦労されたと思いますが?

当時、戦後最悪の経済危機の中、国家の非常事態とも言われていましたが、政権与党の国対委員長としては、政治の安定を図るのが一番の使命だと認識していました。お蔭様で成し遂げることが出来ました。
■衆議院議員として三十年、今改めて振り返る母親の存在とは?

私どもが物心ついた時代というのは、先の大戦で日本が敗れて国土が焼け野原になる、という時代でした。特に私は戦争で父親を亡くし母子家庭で育っているので、母親が行商に行くという極めて貧乏な時代を過ごしたわけです。

当時、我々の幼い時代は、末は博士か大臣か、という高い心意気のある時代でもありました。だから私も苦労する母親の背中を見て、「よしっ、末は博士か大臣か」という思いが強かったのです。政治家になることに、大いなるロマンや夢を抱いていました。

その中で、母親に教えられたことは「貧乏は恥ずべきことでない、人間として一番大事なことは一所懸命頑張ること。そして決して嘘をつかないこと、人を裏切らないこと。」でした。振り返れば、私は人間として一番大事なことを母親の背中で教えてもらえたことが幸せなことだったのかも知れません。
■政治の集大成として、これから成し遂げたいことは?

私を三十年育んでいただいた後援会・支援者の皆様方が、私に何を期待して国政に出させて頂いたのか、そのことをもう一度振り返ることが大事だと思います。

地域の発展は勿論ですが、国家と国民のために、今混迷する政治、ともすれば政治の貧困に結びつけられようとする今の政治不信、こういったものを政治の王道に戻すことが必要です。

幸い、門閥・閨閥のない私が、皆様方からの一票一票の積み重ねで、国会に出させてもらったということは、今日の極めてパフォーマンス・スタンドプレー・ポピュリズムがこれだけ横行する社会の中で、私は最も強い武器を持っていると思います。

それは、「皆様方の一票への感謝の気持ちがあれば、失うものは何もない」という事です。家系にも傷つけるものもありません。

そうであるならば、政治家としての集大成は、やはり政治の王道に邁進していく、という事に尽きます。結果として、政治の本舞台は未来にあるので、次世代、次々世代を見据え、その為に自分がどういう役割を果たすのか、こういったことに向けてもう一度闘士をかりたてる、これこそが私の責務だと思います。

それと、今の若い人達が少年時代に持つ夢やロマンがない、と言われます。野球少年やサッカー少年、ゴルフに夢中になる子どもたちはいても、将来政治家になりたいという夢を持つ人がいないのは残念です。最後に、少しでも私の後姿がそういうものになれば嬉しく思います。今の若い人達に政治への関心を取り戻す、そういう使命もあるのだろうと思います。
(2010年3月 大牟田市内にてインタビュー)

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